情報理工学科における「数学」の教育と研究


物事という言葉があるように、
世の中が「もの」と「こと」とで出来ているとすると、
理工学部の3学科のうちの物質生命・機能想像の2学科が主に「もの」を扱うのに対し、
情報理工学科では主に「こと」を扱う、と言えるでしょう。
理工学部の3学科は共に
「探求する-理学」「実現する-工学」「活用する-支援」
の3つの軸を持った理工融合型の学科ですが、
その中の1つである情報理工学科での「数学」の教育には、
次の2つの意味合いがあります。

順に紹介していきましょう。
また、「数学」の研究については下記をお読み下さい。

情報理工学の言語としての「数学」

「こと」を表現するものは「言葉」です。
自然科学・理工学では、「こと」を正確に表現し伝える言葉が必要であり、
それには「数学」の言葉が使われます。
もちろん高校までで習っているような、
計算したり未知数を求めたりする技術(スキル)もその一部ですが、
それにも増して、
「対象を明確に定義することから出発して、認められた推論を積み重ねてゆく」
という数学の特徴的な議論の進め方を身に着けることが必要です。
高校でも習う(けれども多分余り深くは触れられていない)
集合・写像などの現代数学の基本言語や、
その基盤の上に定式化される極限・位相・代数系などの基礎的概念を用いて
対象・現象を記述することは、
専門分野の深く確かな理解を促し、さらに進んだ探究を行う上でも大切です。
また、こうした明確な数学的言語を用いた「こと」の精密な記述は、
専門分野を超えた応用にも繋がっていきます。
元々の対象とは一見無関係と思える分野に応用されることも少なくありません。
それも本質を見抜く「数学」の力です。
本学科では学科演習や少人数ゼミナールを通して、
必ずしも数学を専門としない学生も含めて全員を対象に、
このような数学の言語による「こと」の理解を目指すカリキュラムが組まれています。

研究対象そのものとしての「数学」

情報理工学科の中での「探求する-理学」の軸となる分野が数学であり、
「数学」そのものを主たる研究対象として、
本学科での学修を進めていくことも出来ます。
先に述べた基礎的な科目に加えて、
旧数学科のカリキュラムに基づく一連の数学系選択科目が用意されています。
それらの科目を履修して、
卒業研究で数学系教員の研究室を選択することになります。
一言で「数学」と言っても、対象や手法により色々な分野がありますが、
細分化されるだけではなく、それらが互いに関係して奥深い理論が成立しています。
そのような特徴を踏まえて、旧数学科の頃から、一部の分野に偏ることなく、
代数・幾何・解析の各分野を専門とする教員を揃えて、
小さいながらも広い分野をカバーしてきました。
情報理工学科になって情報数理分野や確率統計分野の教員も加わり、
更に広い範囲の中から専門を選ぶことが可能になっています。
大学院で理工学専攻数学領域に進学して更に深く学究を進めることも可能で、
大学院進学を目指す学部生は「大学院入学前履修(いわゆる先取り履修)」
の制度によって、4年次のうちに大学院の科目を履修し、
大学院進学後に大学院の単位として認定することが出来ます。
また、その専門性を活かす進路として、
教職課程に登録して、教員免許の取得を目指す
ことも可能ですし、お薦めです。

「数学」の研究の問題意識

「数学」の研究は、元々は様々な実用的要請から始まっていますが、
現在ではその内なる探求心・問題意識によって、
実用的要請とは直接関係なく深まっています。
それは未知なる数理現象を発見し、その仕組みを解明することです。
しかしながら、数学の中での探求心から発見された「良いもの」は、
しばしば顕著な実用的利点をも持ち、思いも掛けぬ応用が見出されています。
一方、今でも様々な実用的要請が数学に持ち込まれて、
それが次第に数学の中での新しい研究対象として自立していっています。
このように、深さ・広さの両面で数学は今でも進んでいるのです。

本学科の数学系教員の研究分野については
教員紹介の「数理情報」分野
を御覧下さい。