上智大学 理工学部 情報理工学科

情報理工学科とは

インターネットでの電子メールやWWWという新たなコミュニケーション手段と,PCや携帯電話などの高性能な情報通信機器の一般社会への普及は,情報の量的,時間的な変化を社会にもたらしました.多くの人によって生み出された膨大な情報を蓄積し,これらの情報を世界中に短時間で伝達することが可能になりました.

情報通信技術(ICT)を活用し,人間によりやさしい情報社会を実現するため,目的に適した価値のある情報を効率的に利用できる,新しい情報技術の確立が求められています.多くの人や社会が持つ知識,知恵,経験を蓄積できるよう目に見える情報として整理すること,これらの情報を有機的に組み合わせ,必要な情報を適切な形で提供できる情報処理技術も不可欠です.

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上記のような幅広い技術を学ぶためには,広い分野の技術を統合的に学ぶ必要があります.そこで,情報理工学科では4つの分野(キーテーマ)の幅広い分野を学習・研究内容としています.

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情報理工学科は,“知識”の体系的な整理と活用のために,「分析・解析・統合するための情報」に関する知識・知恵を教授するために以下のようなカリキュラム編成しております.

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本学科の教育目標は,自然科学の教育を基礎とし,さらに,人文・社会科学との学際的視点を重視し,“情報”を通して人間と社会を深く理解する創造力豊かな人材,人間や社会が有する知識,知恵,経験を蓄積できるよう目に見える情報として整理し,これらの情報を有機的に組み合わせ,適切な形で人間や社会に還元する能力を有する人材を養成することとしております.このため,低学年では,理工基礎(数学・物理・化学・生物・情報)教育を徹底して行い,高学年では,「人間情報」,「情報通信」,「社会情報」,「数理情報」をキーテーマとするカリキュラムを設け,理工融合による複合知に基づく幅広い分野に適応できる専門教育を行っております.また,科学技術英語の教育により国際的に活躍できる科学者,技術者を育成しております.

また,「無線従事者」や「電気通信主任技術者」等の国家資格取得に必要な科目を用意し,通信・放送業界で活躍する人材を育成している点も本学科の大きな特徴です.さらに、数学や情報の教職課程のカリキュラムを備え、中学・高校の教員免許を取得することもできます。

「基礎教育の徹底」と「横断的で柔軟な教育」の両立

専門教育は大きく分けて理工学部3学科共通の「理工共通科目I群(主に1年次に履修)」,「理工共通科目Ⅱ群レベル1・レベル2(主に2~3年次に履修)」と「学科コア科目(主に2〜3年次に履修)」「学科専門科目」があります.

前者2つでは,情報だけに限らず理工学全般に関係する「基礎教育の徹底」を理念としています.
後者2つでは自分の専門に限らず関連分野を含めた「横断的で柔軟な教育」を目指します.

はじめにプログラミング,情報通信,ネットワーク,情報数学の基礎を学びます.
その後の学科専門科目は「人間情報」,「情報通信」,「社会情報」,「数理情報」の4群に分かれ,その中から自分の興味を持つ1つを選択しますが,選択した群以外の科目もいくつか履修する制度となっています.
また,全員がプログラミング演習,電気・電子・ディジタル回路実験,数学演習を行い,実習実験授業を通じて幅広い分野を横断する知識が得られます.

人間や社会に目を向けた文理融合型の研究により,情報技術を発展

情報理工学科のカリキュラムでは,ハードウェア,ソフトウェア,プログラミング,通信工学,ネットワーク,情報数学などの,コンピュータや情報通信システムの基盤となる,サイエンスやエンジニアリング的な基礎を教育します.さらに,「人間情報」,「情報通信」,「社会情報」,「数理情報」の4つをキーテーマとして設定し,それに沿った学科科目を用意しています.単に情報の技術を勉強しただけではない,人間や社会に目を向けた視野の広い人材の育成を行います.

また,情報理工学科の特色は積極的に理系研究と文系研究との融合が図られていることです.実社会での応用を念頭に置いた場合,理系の分野における研究のみでなく,文系的な観点からの知見も積極的に取り入れていく必要があります.本学科ではたとえば経済学(経営情報学など),社会学(社会情報学など),言語学(言語情報学入門など),心理学(実験心理学)や社会福祉学の文理融合科目を積極的に設置し,基礎的な学力を養います.

理工学部の優れた教育プログラムとして国に認定された「科学技術英語教育」で,英語で仕事ができる科学技術者への足がかりを固めます.

人間・通信・社会と情報の関係を学ぶ学科専門科目

3~4年次に履修する学科専門科目群では,情報理工学科が対象とする4つのキーテーマに沿った科目が編成されています.

■人間情報

情報の観点から人間を捉え,人間を理解した上で情報を扱う基礎と応用を学びます.「感覚情報処理」,「生体医工学」,「学習・記憶・認知」,「実験心理学」,「脳神経科学」,「言語情報学入門」など,人間の感覚や体から,心や脳のメカニズム,言葉などを理学・工学的に見つめる科目を揃えています.また,そのメカニズムを科学技術に応用する領域を学ぶ「ニューラルネットワーク」,「音声・音響工学」,「画像処理工学」があります.教育や福祉の場面でITをいかに活用するかを考える「教育情報工学」や「福祉情報学」があります.

■情報通信

情報を伝える通信技術の基礎と最新技術について学びます.概論である「情報通信工学」,コンピュータや通信装置の基礎となる「電子デバイス」「コンピューティングアーキテクチャ」,情報の伝達を扱う「電磁波伝播の基礎」「信号基礎論」「通信ネットワークシステム」,通信技術応用の「リモートセンシング信号処理」などの科目を通じ,将来情報通信分野で活躍するために必要な知識を得ることができます.

■社会情報

人と社会にやさしいシステムの実現をめざす「情報システム工学」,「ソフトウェア工学」「分散コンピューティング」をはじめ,人の知識・経験則,試行をシステムの中に取り込んだ「知識工学」,「シミュレーション工学」,生産・物流を管理する「生産工学」,「ロジスティクス工学」,経営上の意思決定を支援する「オペレーションズリサーチ」,「経営情報学」などが揃っています.社会に対するメディアの影響力を探る「メディア工学」,「メディア情報学」,「社会情報学」などにも社会情報というキーテーマの特徴が表れています.

■数理情報

ある学問分野が自然科学の一分野として確立するには,数学の言葉による定式化が欠かせません.情報科学も数理の裏付けを得て自然科学として確立し飛躍を遂げました.情報科学の基礎となる「計算機数学」,「離散数学」,「暗号・符号理論と情報セキュリティ」,社会への支援に繋がる「多変量解析」,「数理ファイナンス基礎」を前衛とし,基礎的な数学の各分野から,代数系の「環と加群」,「体とガロア理論」,幾何系の「多様体論」,「位相空間の不変量」,解析系の「測度論」,「常微分方程式」が,探求志向の基軸科目としてこれを支えます.

人間情報の主な専門科目
学習・記憶・認知 脳のソフトフェア的側面を、感情や思考といった高次の機能まで含めて理解し、また、心とコンピュータの違い、脳システムの障害についても学ぶ。
ニューラルネットワーク 学習や連想などが可能なコンピュータを開発するため、神経細胞を模した回路網を構築。興奮・抑制という単純な機構から複雑な処理が生じる過程を理解する。
福祉情報学 情報の観点から、障がい者支援について理解を深める。聴覚障がい、発声障がいをもつ人とのコミュニケーション方法や、現代の福祉・医療と情報との関わりなどを検討する。
情報通信の主な専門科目
信号基礎論 シャノンの通信容量の定理,標本化定理,フーリエ変換,周波数解析,誤り訂正符号など情報通信におけるディジタル信号の取り扱いを学び,情報通信の基礎を理解する.
情報通信工学 情報を伝達するための変復調や多重化・多元接続方式,情報通信網の構成などの基盤技術から,携帯電話や無線LANなどの実際の無線通信システムを理解する.
コンピューティングアーキテクチャ 世界中のコンピュータやスマートフォンをむすぶインターネットのしくみや,その上で高度なサービスを提供するウェブアプリケーション技術を理解する.
社会情報の主な専門科目
情報システム工学 情報システムを構築する際に検討すべき要件にそって、目的、定義、種類、形態、処理単位、構成要素、開発形態などについて、理論的・体系的に理解を深める。
生産工学 工場レイアウトや生産ラインの設計など、原材料から製品までの物の流れに関わる工程システムと、生産計画や在庫管理など、情報の流れに関わる管理システムについて学ぶ。
シミュレーション工学 現実を仮想環境で再現し、各種の実験を行うシミュレーション技術について、離散型や連続型などのシミュレーションの種類、シミュレーションの妥当性など、多角的に学ぶ。
数理情報の主な専門科目
代数学(ガロア理論) 方程式の解法理論から生まれた「数学の華」、現代の数学のさまざまな理論の基盤であり、暗号・符号の理論などを通じて情報数理にも活用されているガロア理論の基礎を学ぶ。
幾何学(多様体論) 多様体とは、地球の表面のように局所的に地図で位置を表すことのできる空間である。局所的な幾何構造をつなげて空間全体を理解するのに必要不可欠な、多様体上の微分積分学を学ぶ。
数理ファイナンス基礎 為替、金利、派生商品、保険などの金融実務やリスク管理で活用される数理ファイナンス。確率論の基本的概念を利用し、オプション価格の決定を中心とした基礎を学ぶ。
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